2011年3月12日土曜日

福島第一原子力発電所事故・枝野官房長官会見

2011年03月12日 (土)
福島第一原子力発電所事故・枝野官房長官会見 ほぼ全文掲載です

東北地方の沿岸部の自治体に甚大な被害を与えた東北地方太平洋沖地震。地震で福島県の福島第一原子力発電所1号機では、国内で初めて、原子炉内の核燃料が溶ける「炉心溶融」が起きたと見られています。

大量の放射性物質が放出されたのではないかと不安が高まる中で午後8時40分からおこなわれた、枝野官房長官の記者会見、ほぼ全文掲載です。

東京電力福島第一発電所の件についてわたしからご報告申し上げます。
まず本日15:36の爆発について、東京電力からの報告をふまえご説明申し上げます。

原子力施設は鋼鉄製の格納容器に覆われています、そしてその外がコンクリートと鉄筋の建屋で覆われています。
このたびの爆発はこの建屋の壁が崩壊した物であり、なかの格納容器が爆発した物ではないことが確認されました。

爆発の理由は、炉心にあります水が足りなくなって少なくなったことによって発生した水蒸気が、この格納容器の外側の建屋との間の空間にでまして、そこで、その過程で水素になっておりまして、その水素が酸素とあわさりまして爆発が生じました。

ちなみに格納容器内には酸素がありませんので、水素等があっても爆発をすることはありません。
実際に東京電力からは格納容器が破損していないことが確認されたと報告を受けています。

繰り返しになりますが、このたびの爆発は原子炉のある格納容器内のものではなく、したがって放射性物質が大量に漏れ出す物ではありません。
東京電力と福島県によるモニタリングの結果も、確認を致しましたが、爆発前にくらべ、放射性物質の濃度は上昇致しておりません。

報道されました、15:29の1015マイクロシーベルトの数値でございますが、この地点の数値はその後、15:36に爆発がございましたが、15:40の数値が、860マイクロシーベルト、18:58の数字は70.5マイクロシーベルトとなっておりまして、爆発の前後でむしろ少なくなっております。

その他の地点も、14時頃にベントといいますが、容器内の水蒸気の圧力を高くなることを抑制するために外に出す、このことは、けさほど来、きょうの未明来申し上げておりますが、これが14時頃から行われまして、その前後で14時頃のベントの前からそのあとでいったん高くなっておりますが、その後15:36の爆発を挟んでもいずれも低下をしていて、そして低いレベルにとどまっております、従いまして現時点で爆発前からの放射能物質の外部への出方に状況は大きな変化はないと認められる物でありますのでぜひ冷静に対応していただきたいと思っています。

その上で、こうした状況、現状を踏まえ、今後懸念される原子炉容器、および格納容器の破損による災害を未然に防止するため、東京電力が、容器を海水で満たす処置を執る判断をいたしまして、海江田経済産業大臣においてこのことの指示をいたしました。合わせてホウ酸を用いることによって、念のために万が一にも再臨界などの懸念される事象が生じないよう工夫することも確認いたしております。政府としては、こうした措置の準備、手順が適正であることを、経済産業省原子力安全・保安院ともども確認をし妥当なものだと評価しております。この手順は20時20分に着手しています。

なお、この東京電力福島第1発電所にかかる避難指示につきましては、こうした爆発の状況、それによる対応策、今回、徹底して実施いたしました対応策等の方向性、輪郭が見えてきた段階で、万が一の対応策として、20キロ圏内から退避いただくことに拡大しました。これまでの対応方針同様、今回の措置によって10キロから20キロの間のみなさんに具体的に危険が生じるというものではございませんが、新たな対応を取ることの可能性が出たことに鑑み、念のためにさらに万全を期す観点から20キロに拡大をいたしたものです。住民の皆さんは、こうした事情経緯判断に基づくものですので警察・自治体などの指示に従って冷静に対応をしていただきたいと思っています。

<質疑>

爆発は原子炉に対する影響はまったくなかったのか?
格納容器の中に原子炉はあります、その格納容器自体の損傷は認められないということでございます、そういうことでございます。

建屋の崩壊は今後の作業の影響や、今後の原子炉からの放射能物質がもれることにつながる可能性は高まるものにつながるのか?
もちろん建屋がないよりはあるほうが安全性が高いことは間違いございません。
だからこそ早急に、そのリスクを低下させるためにホウ酸を利用することと同時に、海水を容器に満たすという対応策を判断したものです

念のための措置としてはよくわかるが、住民からすると海水を満たす措置をとるにあたり本当に危険性はないのか心配は広がっていると思うが。なぜその措置が必要か?
住民の皆さんは地震、津波によってだけでも相当な生活へのダメージを受けておられます。もちろん住民の皆さんの中には高齢者の方、障害をお持ちの方、お子さんを抱えていらっしゃる方、またいろんな事情をお持ちの方もいらっしゃいます、こうした状況に対する対応としては、できるだけ必要なある意味で最小限の退避等にとどめるべきと言う考え方も一方ではあろうかとおもいます。
一方で原子力にかかわる問題については、しかもこのスタートが未曾有の大地震、大津波ということに端を発している問題でありますから、もし必要最小限といった場合の万が一のリスクというものもしっかり考えて、そして万全を期すべきだろうという考え方でこの間対応をしてきているわけでございます。その両者の兼ね合いの中で、その時点ごとの状況や対応策に応じて必要最小限からひとつ超えたところの万全の措置をこの間、常にとり続けているということでございまして、今回の建屋の上部ですが、崩壊がある、そうした中で海水によって容器を満たすというこれまでにない措置を執ることで、想定されている中では、これによってしっかり当該原子炉はコントロール下に置かれるものと思っておりますが、万全の策をとらせていただいた。住民の皆さんにはそういったことではご不便をおかけいたしますが、まさにそのことによって万全を期していることでご理解をいただきたい

海水で満たすことによる新たなリスクは?
基本的にはさまざまなことを分析をいたしました、専門家による分析、専門家、当事者である東京電力、それから原子力安全・保安院、それから原子力安全委員会、それぞれ専門家の専門的な分析もいただき、そのことを私含め、総理、海江田経済産業大臣、必ずしも専門家ではありませんが、納得のいくように繰り返し、説明確認をいたしました。
そうした中で新たなリスクはないものと判断いたしまして、今回の措置に着手することにしたものでありますが、まさに、スタートがこれまでに経験のしたことのない、未曾有の大地震であり、大津波であること、そして海水で満たすこと自体がおそらく事実上初めてに近い対応策であるということを踏まえてさらに万全の措置を執ると言うことです

海水の利用は冷却するという当初の目的と同じか?
そうです。

20:20に着手したと言うことですが、完了見込みは?
格納容器を満たす時間ですが、詳細には、ポンプの稼働の状況等によって正確にあらかじめ決めることができるわけではありませんが、おおむね5時間からプラスアルファ数時間という範囲内という風に考えています

現場の作業状況は万全なのか?朝まで行うのか?
そのとおりでございまして、残念ながら、この間、負傷された方等も出ておりますが、本当に細かい技術的な設備も含めて、事前に説明方向を求めて、なおかつそれがしっかりできる態勢になっているかという確認をした上で行っております。
少なくとも事前に想定できる点についてはいずれもきちんと説明を求めて、確認の上スタートさせています

夕方の会議では退避の対象が6時の結果を見てといっていたが、数値自体は安全に向かっていたのに20キロに拡大するのは矛盾になると考えるが。
もし先ほどの会見の時にモニターの放射能の量のみで判断するというのみで判断されると受け止められたら、それは若干申し訳ないと思いますが、当然それが大きな要素でありなおかつ今回の爆発的事象の原因、そしてそれに対する対処、総合的な判断のもとで、20キロ圏内からの退避ということになりました。
さきほどの時間の話ですが、圧力容器に水を満たす、ですが、「炉、原子炉」に水を満たすのに5時間プラスアルファです。その周辺の格納容器に満たすには、さらに日にち単位、10日くらいの日数はかかるといことです。ただ、すみません、原子炉そのものにしっかりと海水で満たされておればこれによって安定的に冷やされて管理された形でだんだんと安全な状態に入っていくということです

10日くらい退避しないといけないのか?
そこはそれぞれまず5時間プラスアルファ、5~10くらいの間と想定していただきたいのですが、その段階でいったん、様子を見ます、それで放射線の量のモニタリングをしっかりいたします。その状況を踏まえて判断したいと考えています

退避の前後を含め、政府として十分に情報提供していると考えているのか?
この間、24時間くらいだと思いますが、東京電力に対しては常に繰り返し的確正確かつ迅速な情報提供を繰り返し求めながらこうした対応を取らせていただいています

放射線の数値だが劇的に下がっている要因は?
本日の4時頃、ベントという措置を執りまして、炉の中から、これはきょうの未明から何度かここでご説明していますが、炉の中の圧力の上昇を抑えるということで、管理された形で若干の放射能を含むけれども、それを外に出す、という手順が本日の14時頃できました、したがってそれまでに炉の中にあった、放射線、放射能が、その時点から外に出るようになりました。その結果、その時点、その直後の所は、高い数値を示していますが、管理された形で出て行くという形に入っていますので、順次下がっていくこういうことだと認識していただいていいとおもいます

現時点では政府の管理下にあるとおもっているのか?
これでホウ素、正確にいうとホウ酸ですね、海水で炉を満たすというところまできちっとできれば、本日の未明以来、申し上げてきております管理された状況で、人体に影響を及ばさない範囲の、放射線放射能は含みますけれども、しっかりと管理・コントロールされて収束に向かうプロセスに向かうと考えています

風に乗ることで対象を広げてモニタリングすることはないのか?
これはですね、基本的には風向きによって、どちらのほうに向かっていくのかということはありますが、どんどん遠くにいくほど薄まっていくものでありますので、近い部分のところでしっかりとモニタリングして、これが特別、リスクの非常に高い数字であったり、リスク高い数字が継続すれば、避難所周辺とかということを考えなければいけないと思いますが、まさに確かに一時的に1000をこえるマイクロシーベルトの数字、出た瞬間ありましたけれども、全体としてその周辺のモニタリングの数値からみれば、いま、これまで10キロ、で、今回20キロというところの地域の皆さんに、人体に影響を与えることにはならないというふうに思っています

さきほどの会見ではヨウ素の配布に言及されています。それもないということになるのか。
いつでも配布できるようにという状況を作っております。これはもう、万一を備えた措置として行っていただいています

直前にあがったのは、それとの因果関係は?
あの、直接の因果関係等について、私は専門家ではございませんし、あの、何が引き金になったかということについて、私が専門家的にお答えすることは、専門家でもありませんし、かえって誤解を招くかなと思っておりますが、今回の爆発がどういうことで起きたのかとういことについては、専門家の皆さんの分析で把握はできております。そして、そのことが、ただちに他のように起こりうるいうことについては、いまのところ想定していないことの報告を受けております

海水で冷やすということですが、10日くらいで済むということですが、いわゆる安全宣言とか住民の方がもとのところに戻ることができる、時期的な目途については?
もちろん住民の皆さんにとっては、できるだけ早く安全宣言をして本来の生活・家庭にお戻りになりたいというお気持ちが大変強いいうふうには思っております。ただ、今の時点では、とにかく、身体に影響を与えることのないように、万全の措置をとるということで、なおかつこれは、スピードを要するということでございますので、そのことを一歩一歩積み重ねてきているということでございますので、ご質問については、これで例えば炉を満たしてという一つのある段階になりましたら、もちろん、いろんな検討をしてまいらなければならないというふうに思っております

海水で炉を満たしたあと、海水は循環させ、交換するということはなく、同じ海水のままで10日間冷やすとことができるのか?
高温でありますので、炉の中は現時点で、あの、どんどん高温で水蒸気になってまいります。どんどん海水を注ぎ込むことによって満たしていくと、こういうことでございます。一方で、このベントの措置をとっていることによって、その水蒸気が外に逃がされ、圧力は高まらない。ただし、そこに若干の人体に影響を及ぼさない程度の微量の放射線が含まれるということになります

水蒸気のなかに含まれる放射能の量というのは、これまでと変わらないのか
むしろより低い水準でで安定するというふうに思われております。もちんその時点でも、しっかりモニタリングを続けてまいります

電力の供給量レベルがもとにもどるのは、いつころになるのか。
全体ということですね。いままさに、危機管理のフェーズで、地震によって生じたリスクをおさえることのために全力あげているところでございます。当然、経済産業省の他の部局においては、経済活動・生活への影響もありますので、今、様々な検討をしただているというふうに、あるいは、そのこと指示自体いたしておりますが、現時点で対策本部として、あるいは官邸としてそのご報告を受ける段階ではありません。しっかりと危機管理を進めていって、こちらのほうのことに一定の目途が立つ段階と、それから国民生活にあたえる影響の大きさの度合いを見ながら、しっかりと対策本部として把握し、必要な対処をしてまいりたいと思っておりすが、現時点でも電力が足りていないということは間違いございませんので、官邸についてもどうやって節電ができるかということを事務レベルで検討しておりますが、皆さんのそれぞれの生活においても、それをご努力をいただければと思っております。

福島第一原子力発電所事故・枝野官房長官会見 ほぼ全文掲載です | NHK「かぶん」ブログ:NHK

0 件のコメント:

コメントを投稿