2013年8月2日金曜日

トリチウム 海洋流出数十兆ベクレル 福島第1原発、東電が試算

2013.8.2 22:05

東京電力福島第1原発から高濃度の放射性物質を含む汚染水が海へ流出している問題で、東電は2日、平成23年5月から流出し続けたと仮定した場合、海へ流れ出た汚染水に含まれるトリチウム濃度が推計で最大約40兆ベクレルに上るとの試算を発表した。

保安規定上のトリチウムの年間放出基準値は22兆ベクレル。原発で発生するトリチウムは、濾過(ろか)などで取り除けないため、電力会社は原発ごとに基準値を定め、管理しながら海に放出している。原子炉の数や稼働率により幅はあるが、各地の原発でも年間数百億~100兆ベクレルが放出されている。東電は「保安規定の年間放出基準値と同程度だが、安全確認できていない状態での流出なので好ましくない」との見解を示した。

試算は、地下水流入量を基にした山側からと、港湾内の海水の移動量による海側からの2通りで算出。山側の推計では、2号機タービン建屋海側の観測用井戸で検出されたトリチウムの最大濃度1リットル当たり50万ベクレルで計算し、敷地内に流れ込む1日400トンの地下水が流出した場合、約40兆ベクレルとなった。海側の推計では港湾内の海水の移動量から約20兆ベクレルとなった。

東電はタービン建屋海側の地下水の状況をより詳細に把握するため、観測用井戸の数を現在の9本から27本に増設する計画も公表した。地下水の汚染が進んでいるとみられる1、2号機周辺で先行整備し、9月までにボーリング調査を終える方針だ。

東電は流出防止策として岸壁沿いの地中に薬剤(水ガラス)を注入し地盤を固めた「土の壁」設置を進めている。だが、海へ流出していた地下水をせき止めたことで地下水の水位が上昇、地表へあふれ出し壁を越えて海へ漏れ出る可能性がある。

■トリチウム 水素の放射性同位体で半減期は約12年。放射線のうちベータ線(電子の流れ)を発生させる。ガンマ線(電磁波)を出すセシウムよりも放射線は弱いが体内に大量に取り込むと影響が大きい。原子炉内で核分裂などによって生成されるが、自然界にも存在する。水の形態で存在するため、汚染水処理では放射性セシウムなどのように吸着させて除去することが難しい。

トリチウム 海洋流出数十兆ベクレル 福島第1原発、東電が試算+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

0 件のコメント:

コメントを投稿